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#011

神奈川県箱根寄木細工職人
小島 裕平

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箱根寄木細工職人 
小島 裕平

Kojima Yuhei
1989年 神奈川県生まれ

幼い頃、木のおもちゃが大好きだった。

そして「木工の仕事がしたい」と思いを抱いていた18歳の頃、箱根寄木細工に出会い感銘を受けた。

高校卒業を期に箱根寄木細工職人の露木孝一氏に弟子入りし、以来、技術習得に勤しんでいる。

 

 

寄木の工程。
境目となる部分に木を薄く切った突き板を挟む。3つを組み合わせ正三角形を作る。

小島 裕平さん インタビュー
寄木細工職人を志したきっかけは?

幼い頃、木のおもちゃが大好きで、それを自分で真似して作ったことがきっかけで、木工に惹かれていきました。

高校を卒業するにあたり、その後の進路については、漠然と「サラリーマンではなく、何か木で物を作る仕事がしたい」、と思っていました。

そして、色々情報を調べている時に箱根寄木細工を知って、お土産屋さんに見に行ったんです。

一目見て「すごいな、きれいだな」と、その魅力に惹きつけられました。
そして、「自分も作ってみたい」、と思ったんです。

すぐに箱根寄木細工の関連施設に電話して自分の想いを伝えたところ、露木社長を紹介していただき、弟子入りを願い出ました。そして半年の試用期間を経て、正式に弟子入りが許されたんです。

正三角形の単位文様ができると、それらを寄せ合わせ、
大きな文様へと展開していくための「種木」を作る。

目標は?

早く一人前の職人になって、完璧な作品を一人で作れるようになりたい。そして、そうした作品を「全国木のクラフトコンペ※」などに出品したいですね。

また、若い人にも寄木細工を知ってもらいたい、そして身に付けてほしいと思っています。

そのために、自分なりの発想で色々考えていきたい、そう思っています。

※全国木のクラフトコンペとは…
全国の木工職人が自らの出品し大賞、金賞が決める、木工職人にとって栄誉あるイベント

 

小島 裕平さん
弟子
小島 裕平さん
露木 孝一さん
師匠(木路社長)
露木 孝一さん

師匠(木路きろ社長)
露木 孝一さん インタビュー

どんな職人になってもらいたいですか?

4年目を迎え、一通りの工程ができるようになりました。

しかし、「10年やって一人前」と言われる寄木細工の世界です。

寄木細工の職人には、様々な技量が求められますので、これからたくさんのことを学んで、身に付けなければなりません。

一つの技を会得したかと思えば、また新たな技の壁が行く手をふさぐと思いますが、一歩ずつ進んで行ってほしいと思います。

また、僕には考え付かない新しいもの、若者らしい発想の作品を色々考え、どんどん創っていってほしいと思います。

取材を終えて

製作工程においては、危険な機械を使う場面も多く、一瞬でも気を抜けば大怪我につながりかねません。

小島さんの作業を一つひとつ後ろからしっかりと見届ける師匠。

そんな緊張感ある仕事場に幾何学模様が刻まれていきます。

10年やって一人前と言われる寄木細工の世界。小島さんは、まだ道を歩み始めたばかり。

失敗を重ねながらも、確実に、小島さんは階段を上っている。弟子の姿を見つめる師匠の目がそう物語っているように見えました。

箱根寄木細工

箱根寄木細工はこねよせぎざいく

樹木が持つ自然の色合いを生かし緻密な幾何学紋様を作り、小箱などに張り付ける日本でも他に例を見ない独特の木工芸品。

今からおよそ200年前、江戸時代後期に箱根畑宿の「石川仁兵衛」が発案したとされ、種類が豊富な箱根周辺の樹木を用い、色の異なる様々な木を寄せ合わせて盆や箱を作ったことが、その始まると伝えられている。

小田原箱根が国内で唯一の産地で、1984年には国の「伝統的工芸品」に指定され、箱や盆、小箪笥など、さまざまな製品が作られている。

また、意外と知られていないが、箱根駅伝の往路優勝校に箱根町が贈呈している優勝トロフィーもこの箱根寄木細工で作られている。