Tamaki Michiaki
1984年 愛媛県生まれ
日本刀作りに魅せられ、高校卒業と同時に刀匠 久保 善博さんに弟子入り。
5年に渡る修行の末、2008年、「刀匠」の資格を取得。
優れた刀鍛冶になる夢を実現するために、日々研鑽を積んでいる。
子どもの頃から時代劇が大好きで、おもちゃの刀が一番の遊び道具でした。
高校二年生の時に、友達の家に本物の刀があったのを見せてもらったんです。
それまで僕の中で刀は「強さ」の象徴だったのですが、見せてもらった刀がすごく「綺麗」で、魅了されました。
現代でも日本刀を作っている世界があるということはなんとなく知っていたので、刀を作る世界があるなら、自分も行ってみたいな、と思っていました。
そんな時に、刀を一心に作る今の師匠の存在を知り、深い感銘を受けたのが、この道に進もうと思ったきっかけです。
とにかくまじめですね。私がいちいち面倒を見なくても、もう安心だと思っています。
今、自分自身で刀を作っているのですが、ちょっと壁にあたっているのかもしれないですね。なんとか自分の力で解決して欲しいと見守っています。
これからの道のりは、すごく大変だと思います。ですが、それを乗り越えてこそ初めてやっと一人前。
人並み以上の技術は持っているはずだから、これから2~3年頑張れば必ずものになると思います。
外国人が日本に「サムライ」をイメージするように、刀はこの国の歴史とともにあり、象徴の一つとなっています。
しかし、現代にサムライがいるわけもなく、「日本刀」や「刀鍛冶」は私にとって、どこか非現実的な未知の世界でした。
実際、工房を訪れると、そこにあったのは、凛とした空気、一打一打に魂を込め鎚を振るう師匠と、その技に真剣な眼差しを向ける弟子の姿。
かつては武器であった刀を生み出す現場の緊張感は独特で、現実だがやはり「別世界」です。
その世界に生きる玉木さんは、礼儀正しく物静か、趣味の古武道では竹刀を自在に操る、古風な青年。
師匠も技術を認め、まるで刀鍛冶になるために生まれてきたかのように思いましたが、独立の際に見せた涙から、決して楽な道のりではなかったことが窺えました。
師匠の下を巣立ち、これから玉木さんがどんな刀を生み出していくのか、期待が尽きません。
「硬く強靭」で「しなやか」という特徴を併せ持つ日本刀は、千年以上受け継がれている日本の伝統的な製法で作られる。
日本刀の素材は、砂鉄を原料に造られる純度の高い鉄、「玉鋼」。この玉鋼を「火床」で熱し、槌で鍛練を繰り返し、延ばしていく。
その後、刀の美しさを左右する「刃紋」「反り」を入れ、「焼き入れ」で強靭さを与える。
最後に、砥石で研いで全体を仕上げ、完成。
その神秘的な美しさに魅了される者は多く、美術品として世界的にも高い評価を得ている。