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宮大工
藤原 弘揮

Fujiwara Hiroki
1985年 鳥取県生まれ

2020年12月、日本の伝統建築やその修理に関わる17の技術が「伝統建築工匠の技」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。
番組では長きに渡り、日本の伝統技術を受け継ぐ若者たちを応援してきた。その中に、「伝統建築工匠の技」に登録された技術を修行する若者たちの姿があった。
今回は、ユネスコ無形文化遺産登録スペシャル第二弾として、2013年に放送した宮大工の若き職人を紹介。
前回の放送内容に加え、当時から変わらず指導を続ける棟梁の思いや、受け継がれていく修復の技と現在の活躍をお伝えする。

宮大工は木材同士を木組みと呼ばれる技法で組み合わせるのが基本。
釘などを使わずとも木同士がしっかり組み上げられるため伝統工法として受け継がれてきた。
組み方を考え、削る部分の指示を木に書き込む「墨付け」は十分な知識と技術を要する。

藤原 弘揮さん インタビュー
当時(2013年)に比べ成長したと思うところは?

棒芯と呼ばれる現場監督のような立場を任せてもらいました。その際に、みんなを動かしながら作業するという経験を経て自分の立ち位置を理解できるようになりました。そういった点が当時より成長したように感じています。

仕事に対する心境はあまり変わらないです。今でも慎重になりすぎて大胆にできないことがあります。僕がおどおどしてしまうと周りのみんなはどうしたらいいの?となってしまうので、もっと肩の力を抜いて仕事に挑めるようになることが課題だと思っています。

今後は、木内棟梁のような宮大工になれるようこの仕事に誇りを持って励みたいです。

藤原 弘揮さん
藤原 弘揮さん
 
木内 繁男さん
棟梁
木内 繁男さん
刀根 健一さん
金剛組代表取締役会長
刀根 健一さん

木内 繁男さん(棟梁) インタビュー
技術の継承と向上のために必要なことは?

部下への指導で重要視していることは、使用している材料が今現在作業している時の状態からこの先どのように変化していくのか、どのように木が収縮するかなど木を見てそれなりの加工をしなければいけないということです。今現在の状況だけではなく20年先、30年先を見据えて作業しなければなりません。
藤原さんは、一人で現場を任せられるくらいにはなり、この8年間でかなり成長したと思います。ですが、まだまだ半人前です。これから、もっとたくさんの経験を積まなければなりません。経験というのは様々ありますが、失敗も経験しなければならないと思います。職人の世界は成功した経験よりもどれだけ失敗したかです。その経験を生かし「2度と失敗しない」と考えられるようになる。失敗の繰り返しが技術の向上に繋がると考えています。

金剛組代表取締役会長 刀根 健一さん インタビュー
金剛組が続く理由は?

創業1443年目ということで世界最古の企業として評価を受けましたが、必ず尋ねられるのが金剛組が続いてきた理由です。
四天王寺様のお抱え大工として継続的に仕事をいただけたことで宮大工の技術の伝承育成ができ、宮大工集団を形成、維持できたことが大きな要因だと思います。
また、金剛組は血縁ではなく実力主義で棟梁、当主を選んできました。実力のある棟梁のもとで、お抱えとはいえ四天王寺様に対する品質や細やかな仕事を全力で行う。このような仕事を長年行うことができたことが、長寿の秘訣だと考えています。

基本的な技法の一つである「金輪継ぎ」。
腐っている柱の部分を切り出し、新たな木材を加工することでまるで一本の柱のようにつなぎ合わせる。
接着剤などを一切使わずとも元の柱同様の強度を保つ。

伝統建築工匠の技:
木造建造物を受け継ぐための伝統技術とは

木・草・土など自然素材を建築空間に生かす知恵。周期的な保存修理を見据えた材料の採取や再利用。健全な建築当初の部材とやむを得ず取り替える部材との調和や一体化を実現する高度な木工・屋根葺・左官・装飾・畳など建築遺産。これらとともに古代から途絶えることなく伝統を受け継ぎながら、工夫を重ねて発展してきた伝統建築技術。
木内組棟梁である木内繁男氏が属する日本伝統建築技術保存会は、17件の国の選定保存技術のうち「建造物木工」の技術でユネスコ無形文化遺産に登録された。

井波彫刻

宮大工

宮大工は日本の伝統的な神社仏閣の建築、また、国宝や重要文化財に指定されている古い建物の修復などを手掛ける専門的技術を持った大工。

大阪府の「金剛組(こんごうくみ)」は、創業約1400年の歴史を持つ日本有数の宮大工集団で、飛鳥時代に創建された「四天王寺」お抱え宮大工としてその地位を築き、現在は約100名の職人が伝統を受け継ぎ、日々技術を磨いている