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房州うちわ 竹職人
石山 好美

Ishiyama Yoshimi
1985年 千葉県生まれ

子どもの頃、自宅の竹垣に触れ竹の魅力に惹かれる。近所のおじいさんから竹を使ったもの作りの楽しさを教わった石山さんは、高校卒業後に京都伝統工芸専門学校で竹工芸を学び、京都の竹垣専門店で7年間修行を積んだ。
「将来は地元千葉で竹職人として生きて行きたい」という思いがあり帰省すると、後継者不足に悩む『房州うちわ』の厳しい現実を知る。「同じ竹で繋がるなら自分にも何かできることがあるはず」と、この道60年房州うちわの匠 宇山正男氏の門を叩く。現在は自身の工房『木更津竹工房 竹星』の看板を掲げ、房州うちわ職人として伝統を受け継ぎ、竹職人として竹の魅力や新たな可能性を伝えている。

皮に傷がつかないように内側の繊維だけを折る「腰折り」の後は、小刀で割いていく。
内側の余分な厚みを削り、さらに細かく。指先が覚えている幅は0.6mm。大型うちわだと64本の骨になる。

石山 好美さん インタビュー
房州うちわの魅力

材料の女竹を伐るところから仕上げまで一貫して自分でできるのが素晴らしいと思います。
丸い竹をそのまま持ち手にして先を細かく割いて作る房州うちわは「窓」の美しさが特徴です。
上から下まで一本の竹で繋がっているので「竹のしなり」がいきています。風のしなやかさ、優しさが他とは違う心地良さがあると思います。風の質にこだわって、自然に吹く風のような滑らかで柔らかい風を目指しています。 あと「窓」の両側に下がっている糸も房州うちわの特徴です。糸の色が変わると雰囲気も変わるので、ワンポイントになります。扇いだときに揺れるのも涼やかで可愛くて好きです。

編竹あみだけは柄の真横の骨から始まり、その左右の骨を交互に順番に編んでいく。
強すぎず弱すぎず。糸は丸い竹の骨を平面の扇型へと美しくいざなう。

今後の目標は?

人の心に響く もの作りをして行きたいと思っています。
ただ作るだけではなく、どうやったら喜んでもらえるかを大切に考えています。そこに人の思いをのせる。そして、作り手の私の思いものせて。
人間味とか人の温かみ、それを感じてもらえるようなもの作りができれば最高だと思います。
手で作っているので機械とは違う暖かさもあると思うんです。

石山 好美さん
房州うちわ 竹職人
石山 好美さん
うやま工房 二代目 宇山 まゆみさん
うやま工房 二代目 宇山 まゆみさん

うやま工房 二代目
宇山 まゆみさんインタビュー

父であり先代の宇山正男師匠の思い出

忘れられない父親の言葉は、私がうちわをやっていて「上手くできない」なんて言うと、「お父さんもな、何十年もやってるけど何本も気に入ったのはないよ」って。そう言ったのがすごく印象に残ってます。職人とは、ひたすら上を上をと追いかけて行かなきゃいけないんだって思わされました。
昔ながらの職人だから「見て覚えろ」。そういうところがあったと思うんです。多分父親は、石山さんには一番厳しかったと思います。もう最後の弟子という思いで必死だったんだと思います。

取材を終えて

『テキパキと元気に動き回る』、『集中してずっと作業に没頭する』、『逞しい』、『優しい』、『よく笑う』、『繊細』。取材中に感じた石山さんの印象です。
竹のことをあれこれ詳しく説明してくれる石山さんはとても優しさに溢れていて、本当に竹が大好きなんだなぁと思いました。
そして、今回の取材で大きく驚いたのは、石山さんと一緒に淡竹はちくの花が咲いているところを偶然発見したことです。120年に一度といわれている開花に巡り合う幸運。石山さんがどれほど喜んでいたか言うまでもありません。
竹を愛する石山さんなら竹と人を繋ぎ、そして房州うちわの伝統を次の代へ繋いでくれるものと確信しました。

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房州うちわ

かつて房州と呼ばれた南房総で受け継がれてきた千葉県を代表する国の伝統的工芸品。京うちわ、丸亀うちわと並ぶ日本三大うちわのひとつ。
南房総に自生する女竹を原料に、丸のままの竹を柄にして、先端を小刀で48〜64本に細かく均一に割き、糸で一本一本編み込まれた竹骨が扇型に広がるとき、幾何学模様が美しい立体的な「窓」を形成する。房州女竹が良くしなり優しい風を生む。江戸時代に隆盛を誇った江戸うちわをルーツに持つ。

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